たいちの徒然日記たいちの徒然日記

元新聞記者むくぎ太一が
日々のできごとを
ホンネでつぶやきます

2020年06月20日(土)

広島公選法違反事件 問われる被買収側の責任 広島市議会議員・むくぎ太一(椋木太一)

こんにちは、広島市議会議員(安佐南区、自由民主党)・むくぎ太一(椋木太一)です。

昨年7月の参院選を巡る前法相・河井克行衆院議員(広島3区)と妻の河井案里参院議員(広島選挙区)による公選法違反事件(買収)は、現金の配布先が100人弱という類を見ないものとなっています。また、私の地元・広島市(安佐南区=広島3区)が舞台の一つとなっていまいました。新型コロナウイルス感染拡大という「国難」にあり、国民、広島の皆様が政治の力を一番必要としている状況にもかかわず、現職国会議員の逮捕により機能不全に陥り、政治不信を加速させてしまう事態となっていることをお詫びいたします。

6月18日に河井夫妻が東京地検特捜部に逮捕されて以降、夫妻の供述内容や関係者の証言、新たな証拠物といったニュースが連日報道されています。夫妻はこれまで何一つ、説明してこなかっただけに、こうした「事実」(本筋)の報道には注視していきたいと思います。

新聞やテレビ、ネットメディアなど様々な媒体で、この買収事件に関しての論評、解説もなされています。「なぜ現金を配布したか」「事件の背景」「(自民党総裁としての)安倍総理の責任」といったものです。言論活動の一環ですので、それぞれの立場から様々な視点で意見が出ることは当然だと思います。私自身は現金の受領はおろか、検察当局の聴取すら受けていませんが、買収事件の舞台の一つとなってしまった広島市の議員という立場からしますと、やはり最も重視しなければならないのは、国民、広島の皆様の立場・視点から、今後を考えることだと思っております。

河井夫妻は、広島県議や広島市議、首長ら100人弱に現金を提供したことが表ざたになって以降、「もらった側はどうなるのか?」というご質問を多数いただいております。買収と被買収は表裏一体の関係性にあるといえますから、こうした疑問が浮かぶのはごく自然なことです。「受領側の大半、立件見送り」(<6月12日付毎日新聞朝刊一面(大阪本社版)>)という報道がある一方、河井夫妻が買収の疑いで逮捕されたことから、より一層、この点に関心が高まるのは不可避だと思います。

刑事訴訟法247条は「公訴は、検察官がこれを行う」と規定し、国家訴追主義、起訴独占主義を表しています。つまり、刑事責任の追及は検察に委ねられているということです(例外は「付審判請求」や「検察審査会制度」)。また、同法248条は「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と規定し、起訴便宜主義を掲げています。つまりは、刑事責任の追及は検察当局の判断に任せるということになります。

ただ、逮捕・起訴されないからといって、「無罪放免」と同義ではありません。道義的、政治的責任は刑事責任とは別物といえるからです。交通事故を事例に挙げます。相手側が亡くなれば、過失運転致死罪といった刑事罰を受ける可能性があります。同時に、免許取消・免許停止などの行政罰を受けるでしょう。また、会社員であれば解雇や減給、自営業者なら廃業・倒産といった社会的制裁を受けることもあります。つまり、刑事責任だけが「責任」ではないということです。

河井夫妻の逮捕を受け、広島市議会、広島県議会の議長は報道機関の取材に対し、調査や対応を協議することを明らかにしています。こうしたことも「責任」の一つとなってくると思います。いずれ起訴され、公判で事実関係等がつまびらかになると思います。国民、広島の皆様、そうしたことを総合的に判断していただけたらと思います。

受領側の責任を論じる新聞