活動報告

2020年01月06日(月)

2019年12月定例会一般質問①「平和記念式典等について」

平和記念式典等についてでございます。

11月24日にローマ教皇フランシスコが平和記念公園を訪れ、原爆の犠牲となられた方々に祈りを捧げ、核兵器廃絶に向けて国内外にメッセージを述べられました。この件に関連して、昨日の山本議員の一般質問で、松井市長が「静謐な環境で平和を祈り、感慨深かった」と述べられました。私自身も、臨席した一人として、静寂に包まれた環境での、この「平和のための集い」は、追悼の場、平和を発信する場、としてふさわしいものだったと実感しております。

ところで、皆様ご存じのとおり、8月6日の平和記念式典では、一部のデモ団体らが「アベたおせ」「アベ帰れ」などと拡声器で叫んだり、太鼓を打ち鳴らしたりするため、式典の静謐な環境が保てない状態が続いています。今年、広島市議会議員として初めて平和記念式典に参列させていただき、現実を目の当たりにして、愕然としました。公人である市議会議員としては、日本国民や市民に申し訳ない気持ちでいっぱいになり、祖母が被爆した被爆3世としては、原爆の犠牲者や祖母を冒とくされた気がして、とても悔しい思いをしました。亡くなってもなお、静かに8月6日を迎えることができないのです。
断っておきますが、私は、デモや集会自体を否定しているわけではありません。そこは強調しておきます。せめて、式典中は、当地を訪れた皆で被爆者を静かに悼むことができないでしょうか。その1点に尽きます。平和記念式典は「原爆死没者慰霊式ならびに平和祈念式」です。言うまでもなく、「原爆による死没者の霊を慰め、平和を祈り、念じる」ものなのです。

被爆75年にあたる令和2年の平和記念式典に向けて、式典に適した環境を確保するための対策を検討するため、広島市は今年の平和記念式典で、参列者を対象にこの騒音に関するアンケート調査を行いました。被爆者やご遺族ら1098人が回答したこのアンケートで、いくつか特筆すべき点があります。まず、「式典と厳粛な環境の関係について」という問いですが、全体の71%が「式典全体を通じて厳粛な環境が必要」と回答されました。「一部の時間帯のみ厳粛な環境が必要」と回答された方々を合わせると、実に86.8%が、平和記念式典は「静謐な環境」で行われるべきだと考えていることが明らかになっています。この数字は、平和記念式典は犠牲者の方々を悼む場であるという広島市民らの思いを表していると思います。さらに、「式典中の音をどう受け止めたか(式典への影響はあるか)」では、拡声器からの音が聞こえたと回答した人のうち、58.9%が「式典への悪影響がある(例えば厳粛な環境を損なう)」と回答しており、騒音を深刻にとらえていることが浮き彫りになっています。しかも、そのうち、52.0%が「今後、音量を規制する措置(例えば条例制定)を講ずるべきだ」と回答しています。
繰り返しになりますが、平和記念式典は犠牲者の方々を悼み、恒久平和を祈願する場です。これらの数字は、長年、騒音に苦慮してきた被爆者やご遺族、参列者らが「静謐な追悼の場」を強く求めていることの証だと思うのです。だからこそ、広島市はしっかり、この結果を受け止めていただきたいと思います。今年6月の市議会定例会の一般質問で、松井市長は「式典中にうるさいと感じる音が聞こえている状況は、式典の目的を達成する公共の福祉を損ないかねない」と答弁されています。これは、非常に重い言葉だと受け止めております。

また、12月6日の一般質問で、市民局長は渡辺議員の被爆75周年における平和の取り組みに関する質問に対し、「海外から迎える平和」「広島の心をアピール」「各自治体からの派遣拡充、受け入れ拡大」というフレーズを口にされました。これまで、8月6日には、国内外、老若男女問わず、多くの参列者、見学者が平和記念公園を訪れていますが、来年は、より多くの方々が、8月6日を広島で迎えてほしいという意欲の表れだと思います。しかし、このままですと、式典中の騒音や喧噪も否応なく、見聞きするようになってしまいます。このことが何を意味するかは、皆様の心の声に問いかけていただければわかることですし、この先、何をすべきかも、おのずと答えは出てくると思います。
広島という地は、私の祖母をはじめ、多くの先人たちが、被爆という人類史上最悪の惨劇を乗り越えてきたからこそ、今があります。私がこの場にいられるのも、先人たちのご努力のおかげだと、心の底から感謝しております。。だからこそ、犠牲者の方々に安らかに眠っていただき、誇れる式典にするため、広島市と市議会が一丸で取り組まなくてはならないと思っているのは、私だけではないと信じてやまないのです。

ところで、デモや集会といった行動は、政治的活動の一種といえますが、このような政治的要素のあるイベントへの公金支出に関する問題についても言及させていただきます。皆様ご存知のように、今年、愛知県で行われた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、一部の企画展に対する公金支出がクローズアップされました。この企画展では、昭和天皇の御真影を燃やしてその灰を踏みつけているような映像を流したり、いわゆる従軍慰安婦を象徴する少女像を展示したりしたことが、問題の根底にあると思っております。ところで、広島では来年秋、現代アートの展覧会「ひろしまトリエンナーレ2020in bingo」が開催予定となっています。主催は広島県、福山市、尾道市、三原市、NPO法人等による実行委員会形式となっています。私は恥ずかしながら、10月初旬まで「ひろしまトリエンナーレ」が開催予定だということを、まったく知りませんでした。尾道市の離島でプレイベントとしての企画展が始まったことが新聞報道されたことで、「ひろしまトリエンナーレ」の存在を知りました。この企画展では、先のあいちトリエンナーレの企画展に出展していた芸術家が数人参加し、昭和天皇をモチーフにした作品を展示していました。作風は、あいちトリエンナーレでのものと同様のものです。こういう状況などから、「ひろしまトリエンナーレ」があいちトリエンナーレと似たものになるのではないかと、私を含めて多くの人々が危機感を募らせているのです。昨日、広島県議会においても一般質問で取り上げられたようです。繰り返しますが、私は新聞記者を務めていたこともあり、8月6日のデモや集会などを含めて、表現の自由を否定するつもりは毛頭ございません。民主主義の根幹をなす重要な権利だと認識しています。様々な主張が詰まった作品は、私費を投じ、思う存分、展示していただければと思っております。ただ、国民感情や尊厳を傷つけるような企画展を、公金を投入して行うことが是なのかと疑問を投げかけているだけなのです。今、こうして、広島市議会の一般質問であえて、「ひろしまトリエンナーレ」に言及する思いも同じです。国の補助金、県や各自治体による出資でやるべきことなのかと疑義を呈しているということを改めて言っておきます。論点は、公金支出に集約されます。この部分はとても重要ですので、何度も繰り返して強調しておきます。

①それではお尋ねします。平和記念式典を静謐な追悼の場にすることについてですが、8月6日の平和記念式典最中のデモや集会の騒音について、広島市はどうとらえているのでしょうか?
②また、来年の平和記念式典を静謐な追悼の場とするため、広島市は現在、どのような取り組みを行っているのでしょうか。その取り組みの今後の方向性と見通しを合わせてお聞かせください。
③さらに、デモ団体は今後の対応に関して、11月18日の回答期限にアンケート結果等の資料の提供を求めてきていますが、広島市としてはこの動きをどうとらえていますか。

①公金支出についてですが、広島市は来年度、「ひろしまトリエンナーレ」に関わる予定はありますか。
②来年度以降、広島市とNPO法人等の民間団体、企業等と手を組む「実行委員会方式」で「ひろしまトリエンナーレ」「あいちトリエンナーレ」のような芸術イベントが予定されていますか。また、行う構想等はありますか。
③先に申し上げたような、NPO法人や民間企業等が関係する芸術イベントに公金を支出する際、イベントの趣旨目的、展示物等の事前審査において、「政治的」要素はどう考慮されていますか。以上、見解をお聞かせください。